家電の昭和史こたつ

 家電の昭和史 (家電月報「ALLE」平成18年5月~平成22年2月号掲載)

このシリーズは「家庭電気機器変遷史」(当会の創立50周年記念行事として発行:平成11年9月)をもとに、

社会の出来事なども交えながら、家電製品の主な歴史について編集したものです。

【ご注意】本サイトに掲載した記述は、各発行時点の内容です。実際と異なる点がありましたらご了承願います。

電気こたつ編(昭和30年~60年代/2009年1月号掲載)

 こたつは、熱源をやぐらで囲い、布団をかけて暖をとるものです。昔は、炭や煉炭を使っていたため、

 火災の危険性がありましたが、安全に配慮し電気を利用したこたつ用のヒーターが、大正13年(1924)  

 年に発売されました。

 

◆昭和32(1957)

やぐら式こたつ(置きこたつ)が発売されましたが(価格は約3,000円。当時の大卒初任給は約13,000円)。掘りごたつのように畳を切って炉を作る必要がないので、きな場所へこたつを置き、足を伸ばすことができました。形は、現在のものと同じ式で、やぐらの天井部分にニクロム線を金網で覆って発熱体を取リ付け、そこから発する熱を反射板で反射させて、こたつ内部を暖めていました。温度調節は、サーモスタット式でした。

この年の7月、日本原子力研究所の東海研究所(茨城県東海村)において、日本最初の原子炉が臨海に達し、原子力平和利用の出発点となりました。

 

◆昭和35(1960)

従来の電気こたつは、ニクロム線発熱体やニクロム線を金属パイプで覆ったシーズヒーターなどが、採用されていましたが、この年より赤外線ランプ式が登場しました。赤外線ランプ式は、赤外線の輻射熱を利用し、点灯と同時に暖かさが得られることや視覚的にも暖かい赤色光が人気となり、この後、やぐらこたつの主流となりました。
 

◆昭和45(1970)

無段階の温度調節ができる発熱体の点滅による温度差を感じない電子コントロール式のこたつが発売されました。
 

◆昭和50(1975)

和室にも洋室にも調和し、テーブルとして1年中使える家具調こたつが発売されました。

◆昭和52(1977)

 
赤外線ランプ式により、さらに快適で安全な温風式電子こたつが発売されました。送風機と電子ヒーターで、空気を暖め温風を循環させてこたつ内を暖めていました。この年の9月、一本足打法で活躍した王貞治選手が、通算本塁打756号を達成し、大リーグのハンク・アーロン選手の記録を更新しました。同年からスタートした国民栄誉賞の第1号でもありました。
 

◆昭和54(1979)

やぐら内に薄型の送風機と電子ヒーター、温度コントロールのサーモダンパーを内蔵し、ヒーターの出っ張りがなくなったビルトイン型電子温風式家具調こたつが発売されました。
 

◆昭和62(1987)

室温の変化に応じて、こたつ内の温度を自動的に補正するマイコン制御式電気こたつが発売されました。

 こたつは、江戸時代から日本の代表的な暖房器具でしたが、エアコンや電気式床暖房の普及により住環

  境が変化し、使用頻度が減ってきました。こたつに入って、みかんを食べながらテレビを見ていたとい

  う思い出は懐かしい限りです。

    

● 主なこたつの歴史 ●

 ◆昭和32(1957)   やぐら式こたつ発売 
 ◆昭和35(1960)   赤外線ランプ式のこたつ発売
 ◆昭和43(1968)   折畳み式、伸縮式やぐらこたつ発売
 ◆昭和45(1970)   電子コントロール式こたつが発売
 ◆昭和50(1975)   家具調こたつ発売
 ◆昭和52(1977)   温風式電子こたつ発売
 ◆昭和54(1979)   ビルトイン型電子温風式家具調こたつ発売
 ◆昭和59(1984)   天然突板タイプの家具調こたつ発売
 ◆昭和62(1987)   マイコン制御式こたつ発売
 ◆昭和63(1988)   コードレスリモコン付きマイコンこたつ発売