家電の昭和史衣類乾燥機

 家電の昭和史 (家電月報「ALLE」平成18年5月~平成22年2月号掲載)

このシリーズは「家庭電気機器変遷史」(当会の創立50周年記念行事として発行:平成11年9月)をもとに、

社会の出来事なども交えながら、家電製品の主な歴史について編集したものです。

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電気衣類乾燥機編(昭和40年~60年代/2009年4月号掲載)

 我が国初となる電気衣類乾燥機は、業務用として昭和42(1967)年に発売されました。当時のものは、従来のガス式よりも安全性が高く、据付や取扱い簡単な、ニクロム線ヒーターを採用していました。

 

◆昭和44(1969)

安全性の高さや据付の簡単さから、家庭用衣類乾燥機ロッカータイプが発売されました。機体内のハンガーに吊るした衣類を送風機とヒーター(ニクロム線)による温風を吹きかけて乾燥させるしくみでした。この年の7月、アメリカ(NASA)のアポロ11号の着陸船「イーグル」が、月面への着陸に成功し、人類初めて地球以外の天体に足跡を残しました。

 ◆昭和45(1970) ロッカータイプの短所であったコスト高と乾燥時間の長さを改善したドラム式衣類乾燥機が発売されました。同年、衣類収納用のファンシーケースの上部に熱源を備え、温風を吹きかけ乾燥させる衣類乾燥機普及タイプ(場所を取らず、使用しない時には簡単に分解・収納できた)も発売されました。
 ◆昭和48(1973) 上にドラムタイプ衣類乾燥機、下に洗濯機が入るドラムタイプ専用乾燥機スタンドが発売されました。角材を組み合わせたものでした。
 ◆昭和50(1975) ニクロム線にに代わり、さらに安全性の向上を図った、半導体ヒーター採用タイプの衣類乾燥機が発売されました。

◆昭和52(1977)

 
従来、タイマーで行われていた乾燥時間の制御を自動にした乾燥自動制御方式採用の衣類乾燥機が発売されました。
 ◆昭和53(1978) 衣類乾燥時の排気による室内の湿度の上昇を抑えるため、空気回路の一部に熱交換機を設け、湿った空気を除湿・乾燥させる除湿機能付き衣類乾燥機が発売されました。この年の4月、東京・巣鴨の東京拘置所跡に高さ239.7mのサンシャイン60が開業しました。完成当時は、東洋一の高さを誇り、展望台からの景色を見るのに並んだものでした。
 ◆昭和55(1980) アパートや下宿住まいの単身者や乳幼児がいる世帯向けに、持ち運びが容易なコンパクト型衣類乾燥機が発売されました。

 

 ◆昭和56   洗濯機の上部に設置しても圧迫感がなく、洗濯物の出し入れなどの作業が向上した薄型

1981)   衣類乾燥機(奥行26㎝)が発売されました。

 ◆昭和62  濯機と衣類乾燥機を融合した乾燥機能付き全自動洗濯機が発売されました。

(1987)

 ◆昭和63  病人や赤ちゃんの肌着シーツなどを清潔に保てる除菌効果を高めた衣類乾燥機や低騒音

(1988)年  タイプの衣類乾燥機が発売されました。

 その後、衣類乾燥機は、乾燥時間の短縮・大容量化・低騒音化・仕上がりの向上が図られ、梅雨時や春先の花粉飛散時などに重用されてきました。現在では、洗濯乾燥機が台頭してきています。

● 主な衣類乾燥機の歴史 ●

 ◆昭和44(1969)   我が国初の家庭用衣類乾燥機ロッカータイプ発売 
 ◆昭和45(1970)   衣類乾燥機ドラムタイプ発売
 ◆昭和48(1973)   ドラムタイプ専用乾燥機スタンド販売 
 ◆昭和50(1973)   半導体ヒーター採用タイプの衣類乾燥機発売 
 ◆昭和52(1977)   乾燥自動制御方式採用の衣類乾燥機発売 
 ◆昭和53(1978)   除湿機能付き衣類乾燥機発売 
 ◆昭和55(1980)   コンパクト型衣類乾燥機発売 
 ◆昭和56(1981)   薄型衣類乾燥発売 
 ◆昭和62(1987)   乾燥機能付き全自動洗濯機発売 
 ◆昭和63(1988)   除菌効果・低騒音タイプの衣類乾燥機発売