家電の昭和史除湿機

 家電の昭和史 (家電月報「ALLE」平成18年5月~平成22年2月号掲載)

このシリーズは「家庭電気機器変遷史」(当会の創立50周年記念行事として発行:平成11年9月)をもとに、

社会の出来事なども交えながら、家電製品の主な歴史について編集したものです。

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除湿機編(昭和40年~60年代/2008年8月号掲載)

  

  我が国で初めて除湿機が発売されたのは昭和27(1952)年。最初は、除湿に対する関心の高い倉庫・電 

  話交換室・図書室など業務用として使用するために開発されました。

 

◆昭和42(1967)

生活様式の変化により、住宅の洋風化が流行するのに伴い、壁に結露やカビが発生し、

具や建具が歪んだりする湿害が発生しました。この湿気を追放する除湿機の需要が高まり、家庭用の除湿機が国内で初めて発売されました。 価格は、35,000円(除湿可能室温は15℃~40℃)、すでに満水自動停止装置機能が付いていました。この年、TBSラジオニッポン放送が、個性ある人々をパーソナリテ(DJ)に採用した深夜番組を始めました。学生を中心に人気が広がり、主婦社会人までが聞くようになりました。   

 ◆昭和47(1972)

湿害に対する認識が雪国で特に高くなり、室温が低くても使用できる低室温型除湿機除湿可能室温1℃~40℃)が発売されました。

 ◆昭和52(1977)

1台で除湿と加湿ができる加湿除湿機が発売されました。除湿方式は冷凍サイルによる冷却凝縮式、加湿方式は超音波によるものでした。

 ◆昭和53(1978)

機能の多様化のニーズが高まり、部屋の除湿の他、布団乾燥や別売品を使用して押入れ

乾燥、衣類乾燥ができる除湿機が発売されました。価格は72,000円と高価でした。

 ◆昭和56(1981)

部屋から部屋へ手軽に移動させて使用できる小型軽量タイプのコンパクト型除湿機が発売されました。また、同年はオールシーズン製品として、使用性を高めた衣類と布団乾燥機能を持った多機能性も発売されました。 

 ◆昭和61(1986)

集合住宅でも設置が可能な薄型コンパクト壁掛けタイプが発売されました。
 ◆昭和62(1987) 除湿機に脱臭・防塵フィルターの空気清浄機能を融合した1台2役の除湿清浄機が初めて発売されました。同年、マイコン制御方式を採用し、湿度センサーとタイマーを内蔵したタイプも発売されました。この年の4月、日本国有鉄道が115年の歴史を閉じ、分割民営化され、JRグループと国鉄清算事業団として生まれ変わりました。
 ◆昭和63(1988) 風向きがコントロールできる可変ルーパータイプが発売され、衣類や押入れの効果的な除湿ができるようになりました。
  この後除湿機は、コンパクト化や吹き出し方向に工夫を凝らし、洗濯物や押入れのカビ対策などの乾燥 

 できるようになり、梅雨の時期だけでなく年間を通して使用されるようになってきました。

● 主な除湿機の歴史 ●

 ◆昭和42(1967)   国産第1号の家庭用除湿機発売 
 ◆昭和47(1972)   低室温型除湿機発売
 ◆昭和52(1977)   1台で除湿と加湿ができる加湿除湿機発売
 ◆昭和53(1978)   (社)日本電機工業会規格が制定
 ◆昭和56(1981)   コンパクト型除湿機発売
 ◆昭和61(1986)   薄型コンパクト壁掛けタイプ除湿機発売
 ◆昭和62(1987)   除湿清浄機発売、マイコン制御式を採用した除湿機発売
 ◆昭和63(1988)   可変ルーパータイプの除湿機発売